2013年4月16日火曜日

アルツハイマー型認知症に対するアロマセラピーの効果



・軽度から中等度のアルツハイマー型認知症の知的機能(特に自己に対する見当識)の改善に効果があった。
アルツハイマー病患者に対するアロマセラピーの有用性:2005, 日本痴呆学会(現:日本認知症学会)

・夜間睡眠時間の延長、中途覚醒、早朝覚醒の減少が見られた。
認知症高齢者に対するアロマセラピーの睡眠効果に関する2症例の検討:2009, 厚生連医誌

アロマが不安の軽減に効果的なことは、
うつ病の回復に効果がありそうだという報告からもわかったが、
認知症の方では、睡眠状態が改善したという報告があった。

睡眠が良好になれば、夜間の徘徊や日中の覚醒レベルの安定につながり、
日中の活動ができるようになったり、精神的な不安感の軽減にもなる。
日中の活動がスムーズにできるようになれば、
デイに出かけ、入浴などができたり、
他者とコミュニケーションをとることができる。
これらは、認知症の進行を遅らせることにつながるかもしれない。

アルツハイマー型認知症の軽度中等度の知的機能が改善するという報告は、
認知症の中核症状が改善することから、
その方の生活が直接的に大きく改善する可能性もある。

どちらの報告も「生活がどうなったのか?」という部分がわからないため、

認知症の問題行動と言われる拒否、徘徊、異食、暴力などが減り、
認知症を抱える方が穏やかな過ごせるようになったかどうかはわからない。

しかし、一方で、こういう報告を読んでいると
「アロマは "良さげ"だからやってみよう」というぼやけたものではなく、
「この方のこの部分の問題解決のためにアロマをやってみよう」
という話につながってくる。
同時にアロマを扱う人たちの専門性(アロマの知識や技術)が必要で、
それはリハビリの専門職が問題把握、目標、計画という流れを
専門的に組み立ててリハビリを行なうことと同じだろうと思う。