記事は、胃ろうに対するフランスの医師の見解です。
栄養状態をよくしておくことで術後の回復を早めたり、
回復の見込みがある栄養失調状態に胃ろう造設を行なうという。
普通に考えれば、普通の話で、治療の一環という考え方です。
日本では、「口から食べられなくなった」から「胃に穴をあけて栄養しましょう」という構図が今まで多かったのだと思います。
急性期や回復期では、意識障害があまり改善しなかったり、
短期間の臥床から廃用症候群が進行し始めてしまい、
嚥下障害が思うように改善しないこともあります。
その場合、退院までに口から食べることが十分にできず、
胃に直接栄養剤を入れて栄養する胃ろうという状態のままになりがちです。
重要なことは、
「一度嚥下訓練をやったし、一度胃ろうにしてしまったから、もう口からは食べられない」
と考えてしまうのではなく、
「次の転院先で嚥下状態をもう一度アセスメントすること」
です。
状態は変わっているかもしれないし、
急性期、回復期ではできなかった訓練ができるような環境かもしれない。
もし口からもう一度食べられる可能性があるならば、
胃ろうはそのまま継続して嚥下訓練を行なえば良い話です。
この場合、胃ろうは治療の一環になるのだと思います。
もし口からもう一度食べることはできないのであれば、
胃ろうを継続するか否かを考える時期になります。
嚥下訓練に関係する医療者は、
「今は胃ろうだけれど、次の病院でもう一度アセスメントをする必要性がある」
ということを念頭に置いておく必要があるのだと思います。